身体が倒れる……足が階段から離れる。


踊り場に落下する私の目に映ったのは……手に鏡を持った伊達君だった。


さっき、鏡を見せたお返しだと言わんばかりの、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。


このまま踊り場に落ちたら、私はナニかに殺される……。


だけど、足が床に付いていないから身動きが取れない。


どうする事出来ないまま、踊り場へと落ちるしかない。










「菜月!」










一瞬死を覚悟した私の耳に、京介の声が届いた。


と、同時に、グッと引き寄せられる。


落ちそうになった私の腕を掴んで、引っ張ってくれたのだ。









「く、くそっ!くそっ!なんでお前は邪魔をするんだよ!何なんだよお前は!!」









鏡を向けられてナニかを見てしまい、さらには私を殺そうと自ら手を下したのに、それもダメだった。


冷静な仮面は剥がれ、伊達君の異常な素顔が現れたのだとわかる。


「何なんだよって……知らねえのかよ。人の彼女を殺そうとして、ただで済むと思うなよ!伊達ぇぇ!」


私を隅に寄せて、怒りに満ちた表情で、京介は伊達君に詰め寄った。