欠けた鏡を探したいけれど、とりあえず京介の意識をはっきりさせる為に、隣の教室に入った。


椅子に座らせて、私は京介の顔を覗き込んだ。


「なんかよ、幽霊まで欠けた鏡を探せって言うんだよ。タイムリミットまでに見付けてくれってな」


タイムリミット……それは間違いなく、あの数字の事だろうな。


それ以外には考えられられない。


「そ、それってナニかが言ったんだよね?見付けろって言うくらいなら、人を殺さなきゃ良いのに」


そうしてくれたら、欠けた鏡を見付けるのも楽になるのにな。


「まあ、何にしても、幽霊から情報を聞き出せて良かったよな。勇気を出して、俺が鏡を見たおかげだろ?」


「変な所で勇気を出さないでよ!死んじゃうんじゃないかって、本当に心配したんだからね……」


そう呟いて、俯いた私の頭を、優しくポンポンと叩く。


「でも俺は死んでないぜ。これで菜月から仲間外れにされなくて済むからな。ようは、殺されなかったら良いんだろ?」


もう、楽観的と言うか、何も考えてないと言うか。


だけど、確かに京介は死んでいない。


もしかして……私が昨日見た夢で思っていた事は間違ってなかったのかな?


ナニかは、目をそらした瞬間、ガラス片を取り出すという考えは。