まるで何かに取り憑かれたように、鏡に向かって話している京介の姿に、ゾクッと背筋に冷たい物が流れる。


「それを見付けたらどうなるんだ?それがお前の望みなのか?」


ナニかに恐れているようでもなく、対話をしているかのような。


「きょ、京介!鏡から離れて!」


怖くて足が動かない。


何とか声を振り絞って、そう叫ぶのが精一杯。


私が何とか動こうとした時……。












バンッ!








と、内側から鏡を叩いて、私を威嚇するような険しい表情をナニかが見せたのだ。


いつもとは違う……「こっちに来るな」と言っているかのような恐ろしい顔で。


だけど……京介はなぜが殺されない。


ナニかに気付いた事を気付かれたら……目を合わせたら殺されると思ったのに……違うの!?


ナニかは私だけに敵意を向けて、わけがわからない。


「……わかった。見付ければ良いんだな?なら見付けてやるよ」


話が終わったのか、京介が虚ろな表情で、鏡から私の方へと顔を向けた。


ゆっくりと私に手を伸ばし、よろよろとおぼつかない足取りで近付いて来る。


そして……私の肩に触れた瞬間、力が抜けたように崩れ落ちたのだ。