私の事をあまり大切にしてないような態度ばかりなのに……こんな時にそんな事を言うなんてずるいよ。


いつもは言わない言葉に、ちょっとドキッとしちゃうじゃない。


普段から言ってくれれば良いのにさ。


そんな事を思いながら向かった二階のトイレ。


調べる為にと、男子トイレと女子トイレ、二手に分かれて調べた鏡。


私が入った女子トイレに欠けた鏡はなく、廊下に出た。


……仮に、欠けた鏡を見つけたとして、それをどうすれば良いんだろう?


割ればいいの?それとも他に何か……。


私の貧困な想像力では、割る以外の方法が思い浮かばないけど。


「京介、どう?男子トイレの鏡は……」


そう尋ねて、男子トイレの中を覗いた時だった。


















「さあ、来いよ……俺は鏡を見てるんだぜ?」

















京介が、鏡に顔を近付けて、ナニかを待ち構えるように立っていたのだ。


「きょ、京介!!だからそんな事……」


慌ててそれを止めようとした時だった。
















私の身体を通り抜けるような、冷たい風が肌を撫でたのだ。