三階のトイレの鏡を調べ終わって、階段の踊り場。


突然ナニかは鏡の中に現れるから、あまり直視はしたくない。


「んー……欠けてるって、どんな風に欠けてるんだろうね」


「俺が知るかよ。幽霊に襲われた菜月の方が知ってるんじゃねえの?」


「そう言われても……欠けた鏡なんて初めて聞いたし、襲われたからってわかるわけないよね」


欠けているとしたら鏡の縁だと思うけど……それらしい跡はない。


そもそも、本当にそんな鏡が放置されたままになってるのかな?


だとしたら……目立つ所じゃなくて、あまり人目につかない場所のような気がする。


「まあ、菜月がわからないねえなら、俺が見ればわかるんじゃね?おーい、幽霊出て来いよ」


二階に下りようとする私の背後で、京介がバンバンと鏡を叩いて縁起でもない事を言う。


「ちょ、ちょっと待ってよ!何してるのよ!樹森君がどうなったか見たでしょ!?本当にやめて!」


慌てて止めに入るけど、鏡と向かい合っている京介を見るのは……少し抵抗がある。


それでも何とか引き剥がし、私達は階段を下りた。


「何だよ……大丈夫だって。それに……お前が怖がるくらいなら、俺が代わりになった方が良いだろ?」