先生がそれを知らない以上、何を聞けば良いのか私にもわからない。


正直な所、私はどうしてこんな事をしているんだろうとも思う。


家にいたくないから学校に来ているけど、どうして人が死ぬ怪談話の謎に迫ろうとしているのか。


ただ、死にたくないと思っているだけなのに。


人がいっぱい死んで、それでも何か掴めるかと思った美術準備室。


そこには何もなくて、心にポッカリと穴が空いたような感覚。


残された数字分、人は死ぬ。


何も得る事が出来なくて、肩を落としながら歩いた階段。


三人で、二階に下りた時。










「ちょ、ちょっと待ちなさい。一つ……思い出した事がある」


原田先生が私達を呼び止めて、慌てた様子で階段を駆け下りて来たのだ。


「何ですか?数字の事ですか?」


「い、いや……違うんだが」


影宮さんの言葉と眼力に気圧されたのか、原田先生の声が小さくなる。


「違うんだが……昔、クラスメイトが言っていたんだ。『欠けた鏡を見なかったか』ってね。それがどういう意味かはわからなかったけど……そのクラスメイトは、直後殺された」


数字の事ではないけど、新しい情報……。


欠けた鏡に何があるのか……。