やっぱり、判断が早い。


目の前で生徒が死んでいるのに、昨日もパニックにもならなかった。


「原田先生、ここまで被害が広がったら教えてくれますよね?この騒動の結末はどうなるのか」


階段を下りながら、影宮さんが先生に尋ねる。


昨日、話を聞いた先生というのは、原田先生だったのか。


「影宮……昨日も言っただろ。先生は知らない。気付いた時には何人か死んで、退学する生徒までいた。どうなったのかは……わからない」


「数字の事については何か知りませんか?鏡の数字が『0』になったらどうなるのか」


数字が『0』になるのを待っていたら、手遅れになるかもしれない。


過去に原田先生が経験した事があるのなら、数字の意味を知っているだろう。


私でさえそう思うのだから、影宮さんがいち早くそう判断してもおかしくはない。


「数字……か。昔の事は覚えてないが、鏡の内側に書かれている数字の事か?」


「そうですけど……知らないなら良いです」


先生から情報を聞き出せないとわかると、すぐに聞くのをやめたよ。


あっさりしているのが実に影宮さんらしい。


結局私達は、数字が「0」になるのを待たなければならないのか。