ガラスを割ってまで中に入ったのに、美術準備室で得られる物は何もなかった。


廊下に出た私達は、冷気を中に閉じ込めるように、急いでドアを閉めた。


「影宮さん、これからどうするの?三つ目の怪談に繋がるものはなかったし、後、わからない事と言えば……」


「数字ね。あれが『0』になった時、一体何が起こるのかしら」


確かにそれは気になる……でも、出来ればそうなってほしくない。


皆思っているだろうけど、「0」になったら、さらに悪い事が起こるんじゃないかな。


「『0』で、もう誰も死なねえって事だろ。幽霊はそれだけ殺して、それで終わりじゃね?お前ら難しく考え過ぎなんだよ」


「それならそれで、最悪の事態になってるのよ?少なくとも後5人……死ななければ終わらないって事なのよ?」


影宮さんの言葉は、自習室での伊達君と樹森君の姿を思い出させた。


数字の数だけ人が死ぬなら、嫌なやつを殺してしまおうと考える。


私には、そこまで考えるほど嫌な人はいないけど、もしかすると、私を嫌だと思っている人がいたら……命を狙われるかもしれない。


「伊達の野郎には気を付けねえとな。あいつはお前らを狙ってるみたいだからな」