予想通り、水筒の一撃で破壊されたガラス。


残ったガラスが上から落ちてこないようにと、全部部屋の内側に落ちるように割って。


そこから腕を入れてロックを解除した京介がドアを開けた。


三つの怪談の最後の一つ……。


人が消えてしまうという美術準備室の中を見た私達は……。














「な、何これ……」














白い、シーツのような布が掛けられた板のような物が、左右、正面に立て掛けられていて、さながら壁のよう。


「何って……布ね。これじゃあ、何も準備なんて出来ないわね。ただの倉庫かしら?」


準備室の一番奥まで入って、不思議そうに首を傾げる影宮さん。


確かに棚はあるし、石膏の胸像や、イーゼルなんかも置かれているけど、美術の時間にそんな物を使った記憶がない。


準備室とは名ばかりの、物置という意見には賛成だった。


「それにしてもなんだよこれ……何があるんだよ」


そう言って、京介が布を捲った時、それは目に飛び込んで来た。










白い布に隠されていたそれは……大きな鏡。


京介は慌てて布から手を離したけど……私達は、鏡に囲まれた部屋の中に入ってしまったのだと気付いた。