鏡のない階段。


そこから下りると図書室は近い。


廊下を走り、その階段に差し掛かった時、こちらに向かって走って来るような足音が聞こえた。


「お前ら!道を塞いでんじゃねえよ!!邪魔だどけ!」


その声に驚き、振り返って見るとひと組の男女の姿。


物凄い形相で、必死に逃げて来たというのがわかる。


そんな二人が私達に接近して……。










ドンッ!と、突き飛ばし、悪びれもなく階段を駆け下りて行ったのだ。


私と真弥ちゃんは床に倒れ、走り去る二人に文句を言う事も出来なかった。


「いったぁ……何なのよもう!突き飛ばさなくても良いじゃない!」


「……須藤君。と、皆川理沙」


その二人を見て、ボソッと呟いた真弥ちゃん。


あ、昨日話してた……って、あれ?


あの時は夢だったのか現実だったのか、どっちだったかな。


あやふやだけど、真弥ちゃんの顔が暗く、沈んでるから、怒っているのは間違いないのだろう。


「おいおい、大丈夫かよお前ら。須藤の野郎……次に何かしやがったら、絶対にぶっ飛ばしてやる!」


遅れて、教室から脱出出来たであろう京介が、私達に駆け寄って来た。