どこに向かうのかさえわからないまま、私達は影宮さんの後について走った。


「図書室に逃げるわよ。他の生徒もいるだろうけど、隠れるには丁度良いわ」


「ね、ねえ!美奈ちゃん!どうして学校から出ないの!?このままいたら殺されるかもしれないんだよ!?」


長い廊下、近くの階段を避けて、奥にある階段に向かって走りながら、真弥ちゃんが尋ねた。


確かに、殺されない事を考えるなら、学校から出てしまうのが一番だ。


そんな事はきっと、影宮さんにはわかっているのだろう。


「学校から出たら、せっかく掴んだ情報が、なんの役にも立たなくなるわ。怪談に迫れるなんて……わくわくしない?」


私はわくわくしなくていいから死にたくない。


夢の中でナニかに殺されるだけでも怖いのに、現実で同級生に命を狙われるなんて考えたくない。


「それにしてもキモタク君があんな事をするなんてね。よほど恨みがあったのかしら?それともあれが彼の本性だったとか?」


樹森君はオタクで、皆によく弄られていた。


時にやりすぎとも思える行為もあったし、いじめと取られても仕方がないと思える行為かあったけど……。


それが、樹森君の中に深い闇を作ったのだろう。