「キモタク!テメェは何してんのかわかってんのか!?殺す……」


岡田君と仲の良かった、不良グループの橋本君が声を上げた。


だけど、樹森君が手にしていた鏡を橋本君に向けた瞬間、その声が止まる。


「ま、まだわからないのか!僕はもういじめられる立場じゃない!お前らがやったように、僕がお前らに恨みを晴らす番だ!」


大人しくて、昨日は私達と一緒にいた樹森君は……伊達君の凶行を見て、日頃の恨みを晴らそうと決意したのかな。







「お、おい……マジかよこいつら!ふざけんなよ!殺されてたまるか!!」


「は、早く誰か死んでよ!私は死にたくない!」







とんでもない光景を目の当たりにした生徒達が、我先にと廊下に飛び出した。


押し合って、早く出ろと混乱状態。


「まずいわね。早くここから離れましょ。この先は地獄よ」


こうなる事を、影宮さんは予想していたというの?


昨日からの口ぶりだと、間違いなく予想していたよね。


「ど、どこに行くの?こんな状態でどうすれば良いの!?」


「真弥ちゃん、まだわからない?後6人死ぬって煽られたのよ?自分が死ぬ前に、早く6人殺そうと考える人が出て来てもおかしくないでしょ」


実際に、そう言っていた人もいた。


影宮さんが言う地獄が始まった事は、私にも理解出来た。