家に戻ったのは
日付が変わる頃
そして風呂に入って
部屋に戻ると
もう午前1時
そんな時間に鳴る着信音。
発信先の智和おじさんを確認し、疲れが一気に飛んでスマホにかじりつく。
『隣の町からドクターヘリで大きな病院に運んだ。傷はパックリ割れてて逆によかった。命に別状はない。しばらく入院するけど本人の意識が戻ってないから、そっちから連絡しないように』
業務命令のような語り。
「松本の意識がないの?」
意識がないって
どーゆーこった。
『だーかーら命に別状はない。安心しろ。ショックで本人が意識戻したくなくて目を覚まさないだけ。こっちからいいって言うまで、連絡よこすなと皆に言っておけ』
「でもみんな心配なんだって」
『ガキ共が心配しても、本人が治るもんじゃないだろ。じゃーな頼むぞ!』
怒ったように電話を切るおじさん。
もっと丁寧に説明してくれてもいいのに……。
でも
おじさんも今まで松本に付き添って病院にいたんだろう。
それだけで感謝しないといけない。
凪子から
メールも着信もなかった。
あちこちからLINE入ってるけど
もう返事する元気も消えた。
ゆっくり
何も考えず眠りたい。
電気を消してベッドに入る。
身体はとっても疲れているのに
気持ちがざわめく
須田海斗にハメられる
凪子が犯人になる
スーッと眠りに落ちる寸前
松本の切り裂かれた頬が浮かび
白い骨が目に焼きつく
ぬるぬるとした血が俺にまとわりつき
もう
逃げられない。
でも
凪子を助けなきゃ
凪子だけは
助けたい。