仲間を心配し
俺の心配をして
凪子が松本を襲った証拠にはならない……なんて妹をかばったように言うけれど
凪子のカッターナイフと言い切り
夕方出かけたと言い
ウサギ殺しは凪子かもしれないって
完璧
凪子が犯人だって
俺達に洗脳してんじゃん
そして
嘘をついている。
「おい、それって……」
「第一発見者の西久保颯大君だね。ちょっといい?」
いつも見る派出所のお巡りさんと、隣町から来た警察官に名前を呼ばれた。
いつの間にか
両親が近くに来て心配そうに俺を見つめる。
「あ……」
「すぐ終わるから。残った生徒は今すぐ帰りなさい。ひとりで帰らないように。集団で帰るように。帰り道ひとりの子は保護者に来てもらうように」
大人達に解散させられ
あちこちに散らばり
須田海斗の姿も消えてしまった。
「疲れてるのに悪いね」
お巡りさんに言われてうなずくと、母さんが「大丈夫?」って濡れタオルで俺の手と顔を拭いて松本の血をぬぐってくれた。
白いタオルにベッタリと赤黒い血。
どんなに苦しく
痛かっただろう
松本の可愛い顔が目に浮かぶ。
そして
凪子の顔も浮かぶ。
明日
無実を証明しよう。
心に決める俺だった。