「颯大とツーショットって何年振りだろ」

多少こぼれたアイスコーヒーを飲みながら
松本はベンチに座って俺に聞く。

「あー……忘れた」

「男子だねぇ」

呆れたような声を出し松本は笑う。

「私は覚えてるよ。小学校の修学旅行のしおり作りでふたりで居残りした」

「古すぎる」

「けっこう嬉しかったなぁ」

「覚えてない」

「期待してないから、別にいいよ」

「俺が松本とツーショットになったら、他の奴らに嫉妬されて面倒だから避けるわ」

「私だって七瀬に悪いよ」

「だからそれが違うんだって」

めんどくせーなーもう。

「七瀬は颯大の事が昔から好きだよ」

「それは嬉しいし、俺も七瀬が好きだけど……うーん……好きって意味が違う」

「……そっか」

「そーだよ」

「田舎にいると固定されちゃうからね」

一瞬涼しい風が来て
頬を心地よく通り過ぎる。

松本の顔が少しだけ寂しく見えた。

「颯大さぁ」

「うん」

「須田さんの事が好きなの?」

「えっ?」

急にきたな!
俺は心臓をバクバクさせるだけさせ
あえて返事はしなかった。

そして松本も返事を待たない。

だから
俺は俺から質問をする

「松本さぁ」

「なに?」

「須田海斗とツーショットであっち側歩いてた?」

俺は凪子と一緒に松本がチェックのワンピースを着て、恥ずかしそうに須田海斗と並んで歩いていた公園の向こう側の道路を指さすと


「うん。歩いてた」

須田海斗は否定しても

松本は否定しなかった。