生徒のザワつきが治まらず
その日は部活も停止
放課後活動禁止
授業が終わると
とっとと帰される生徒達。
テンションが急上昇組と
ただ下がり組に別れていた。
俺は後者。
友達と遊ぶ元気もなく
とっととカバンを持って
チャリに乗り込む
あれから凪子はずっと保健室にいて
須田海斗は教室に戻り
言葉の通り
質問を受けようとしたけれど
みんなの気持ちは一つに固まり
誰も須田海斗にウサギ事件を聞こうとしなかった。
カンスケさんに挨拶をして
風を感じたく
チャリを走らせていたら
チャリに乗ってる松本結衣の後姿を発見する。
足に力を入れ
そのまま横に並ぶと
「颯大!」
俺に気付いて笑顔を見せた。
読者モデルにでもなれそうな
癒し系で可愛い顔した女の子。
男女ともに人気の子。
「ちょっとさ……お茶するか?」
「どこで?」
コロコロと鈴の音のような声を出して笑う。
「野々村商店前でペプシ」
「目立つね」
くったくのない笑顔は、今日の嫌な事件を薄めてくれる。
「じゃぁ……町で一番美味しいコンビニのアイスコーヒー」
「たしかに一番美味しいけどなぁ」
「そこで買いーの、チャリで公園」
「おごりならオッケー」
「決まり!」
俺は松本より先にコンビニにチャリを飛ばし
凪子と話した公園で
松本と並んで町一番の美味しいアイスコーヒーを飲む。