「黙ってたら、犯人になるよ」
「みんなで可愛がって育ててたのに、どうしてそんなひどい事するの?」
「ウサギ殺しは出て行け!」
すっかり犯人扱いにされてるけど
凪子は何も言わない。
集団心理は恐ろしく
次から次へと心無い言葉が飛び交っていた。
「調子にのってんじゃないよ」
「ウサギを返して」
「暗いんだよ!」
大きな輪が小さくなり
凪子との距離が狭くなる。
まずい。
俺はボーっとそれらを見ている男子を突っつき「須田海斗はどこ行った?」と、早口で聞くと「お前のクラスだろ」って逆に怒られた。
この場を収めるのは
須田海斗しかいない。
職員室か?
先生に呼ばれた?
この狭い学校
そこしかないだろ。
七瀬の隣から飛び出し
須田海斗を探しに行こうとしていたら
涼しい顔で
須田海斗は教室の前の扉からやってきて
俺達の騒ぎを見つけて
大きなため息をひとつついた。