「止めても無駄だからね。もうムカつく」
七瀬はさっきまでの泣き顔を一変させ、目を吊り上げ鬼のような顔となる。
「何が?」
「例の転校生の女の子、昨日の帰りにウサギの小屋にいた」
意地になってるのか
七瀬は凪子の名前を口にしない。
そういえば
俺が凪子に教えたんだ
ウサギ小屋の場所を……。
「ジッと見てたって」
「別にいいじゃん」
「変なエサをあげてた」
「根拠のないウソつくなって」
「テニス部の子が見てた」
「エサやっちゃダメかよ?うさ子達が殺されたのは刃物だろ」
「ナイフも持ってたって!」
「話を広げすぎ」
「私……行ってくる!」
話せば話すほど七瀬は熱くなり
俺のハンカチをつき返して
隣のクラスへと向かう。
猪突猛進
四文字熟語をリアルに感じた俺は、焦りながら七瀬の後を追うと
隣の教室では
凪子の机の周りに
人が群がっていた。