平和に暮らしている
田舎の生徒にとっては
かなりのショックな事件で、女子の悲鳴があちこちから聴こえてきた。
発見したのは自称生物部の二年女子生徒。
自称と言うのは
この学校に生物部は無くて
ウサギが好きで世話をやいてる生徒は、全員生物部である。
朝、エサをやろうとして
まっすぐウサギたちの元へ行くと
生臭い匂いが漂い
嫌な予感をさせながら小屋を覗き
その悲惨な光景に叫び声をあげ
泣きながら嘔吐したようだ。
鋭利な刃物でウサギの喉笛を切り裂き
一気に楽に殺さず
ギリギリのラインで苦しませ楽しんだって噂。
それでも先生は
小屋のカギが外れて
キツネにやられたって話をしてるけど
発見した生徒が
自分の見た事実を泣きながら学校中に言いまくってるので、キツネ説は誰も信じない。
七瀬もずっと目を赤くしていた。
こいつも自称生物部の一員だった。
「……泣くなよ」
ボソッと俺が言うと
「だって」
余計目が赤くなる。
ウサギみたいだ。
「颯大。ハンカチ貸して」
「お前のは?」
「美奈に貸した」
唇をとがらせ俺に言うから
俺はポケットからハンカチを渡す。
「名前付けてたのに」
「うさピョンとか呼んでたっけ?」
「うさいち……うさに……うささん……」
うさろく……まで言い終るとまた号泣。
「見分けつかんだろ」
「大きさとか顔がちがうもん!懐いてきたのに……絶対許さないあの女」
七瀬は唇を噛み
ハンカチを強く握りながらそう言った。
女?