「ねーねーお兄ちゃん。転校生って何年生かな?中学校に来るかな?」
たいくつな田舎町
お化け屋敷に人が入ると、子供から大人まですぐ広がる。
「私、仲良くなれるかな。仲良くなったら遊びに連れて来ていい?」
箸を止めて父親に聞く妹。
「いいけど。どんな子がわからないぞ。小学生かもしれないし、高校生かもしれない」
役場勤めの父親にも情報無しか。
「お母さんは、鈴木さんから高校生の兄弟って聞いたけど」
工場パートの母親の方が詳しそうだ。
「えーっ中学生じゃないの?」
「だから噂だって」
「お金持ちかなぁ」
「どうかしらねー。もう、あそこの家も古いし」
「イケメンかなぁ」
「知らないわよそんなの……でもイケメンならいいわね」
女同士の会話って
どうしてこうなんだろう。
「イケメンの高校生なら、お兄ちゃんが友達になって私に紹介してよ」
「お母さんも会いたいー」
転校生設定はイケメン高校生で決定。
俺は無視して目線をテレビに移すと
『……区でまた変死体が発見されました』
全国ニュースが流れる。
『今年に入って……区では二件目です。死因は頸動脈を切り裂かれ失血死……』
ってとこで
父親が手元にあったリモコンでチャンネルを変えた。
「食事時のニュースじゃない」
まぁそうだけど
別に変えなくてもいいのに。
「ねぇお兄ちゃん。吸血鬼っていると思う?」
でた中学生脳!
ラノベ好きな妹はうっとりと俺に聞いた。