授業が終わり

昼食も取らず
ずっと保健室で横になっていた妹と共に
須田海斗は事務の先生に送ってもらい
素早く家に帰ったようだ。


「残念だなー」

体育館の端っこ
七瀬は俺と卓球台を運び出しながら、急にそんな事を言いだした。

「何が?」

「須田君を卓球部に誘おうと思ってたから」
口を尖らせ真剣に答えるので、俺はつい吹き出してしまう。

「なんで笑う?」

「無理無理。入らないって」
直感的に返事をすると
面白くない顔をする。

「そんなのわかんないじゃん。他の部に取られる前にうちの部に誘おうよ。颯大さぁ、一緒に保健室行って仲良くなったんでしょ。力を貸してくれてもいいじゃん」
必死に大きな声で俺に訴える七瀬。
後ろで女子部員が大きくうなずいてる気配を感じてしまう。

ヤツが卓球?

似合わねー。

どっちかったら
サッカーとかバスケだろう

それに
女子部員10名
男子部員 2名の女子社会。

いつも一回戦負けの卓球部に誘うのはしのびない

そう本音を言えば怒られるので

「あいつ部活とか入らなそうだもん。妹が心配でずーっと傍についてる感じじゃね?」
ハッキリ言うと

「あーわかるー」
先輩女子が盛り上がっていた。

「美しき双子の禁断の愛」
「兄と妹のイケナイ関係」
「愛は血を越えて」

そっち方面かよ
しかも
盛り上がりすぎじゃない?