俺が主体になって動いている修学旅行が来週に迫っているので、忙しいのは確かなんだが………。





春川と一緒に帰るようになってから、もう三週間近くが経っている。





もともと口数の少ない春川と、学校を離れて大勢の生徒の目がなくなると途端に素に戻って無口になってしまう俺。




俺たちは、ほとんど会話らしい会話もなく、ただ静かに電車を待ち、電車に揺られる毎日だ。






ただ、少しずつ、言葉を交わすようになってきた。





春川が読んでいるという本の話を聞いたり、俺が大学のときに勉強していた専門科目について話したり。




理学部数学科で学んでいたことを、文系の春川に話して面白いのだろうか、と疑問に思うが、春川自身がその話を聞きたいというので、まぁ、退屈ではないということだろうか。