でも、春川の場合は、違っている。




俺はわざわざ、仕事を終えて学校を出る時間を、春川のバイト終わりの時間に合わせているのだ。





それは、やっぱり、普通のことではない。







「…………はぁ。」







思わず溜め息を洩らすと、隣の席の佐藤先生が、「大丈夫?疲れてるね」と声をかけてきた。







「あ、すみません。

溜め息、でかかったですよね」







と俺は軽く頭を下げた。







「いや、それはいいけど。

ここのところ、毎日のように遅くまで残ってるんでしょ?

あんまり無理すると身体がもたないよ。

早く帰れるときは早く帰らなきゃ」






「あ、はい、ありがとうございます」







俺はにこりと笑って答えたものの、心の中は申し訳なさでいっぱいだった。





俺は別に、仕事が忙しすぎて残業しているわけではないのだから。