先生の乗った電車を見送り、改札から出たところでお母さんを待ちながら、私の胸はまだ高鳴っていました。





ーーー先生は、本当に、私を待ってくれていたのでしょうか。




私と一緒に帰りの電車に乗るために。





どうして、そんなことをしてくれるのでしょうか。





先生は、私の帰りが遅いことを心配しているような口ぶりでした。




自分の働く高校の生徒が、アルバイトで遅くまで街をうろつくことを、心配しているのかもしれません。






一緒に帰る間、先生は何も話さないので、先生の考えはやっぱり分かりません。






分からないことだらけですが、でも、バイトのない明日は、先生と一緒に帰ることはないのだ、ということだけは分かりました。






そのことを私は、なんだか寂しく、物足りなく感じてしまうのです。