「いらっしゃ……」






小さな声で、振り返りながら言いかけた春川が、目を大きく見開いた。




昨日と全く同じ反応なのがおかしくて、俺は思わず小さく笑ってしまった。






「………お疲れ様です、先生」





「………うん、こんばんは」






俺はゆっくりと頷いた。




春川はじっと俺の顔を見上げたあと、空席を指差し、「どうぞ」と囁いた。





席につき、注文を済ませて、店内を動き回る春川を、頬杖をつきながら観察する。





今日は割と客が多く、ホールを一人で回すとなるとなかなか大変そうだ。





それにしても、生徒が忙しそうに働いてるっていうのに、自分が呑気にコーヒーすすってるっていうのは、なんか変な感じだな。




まぁ、俺も一応ついさっきまで働いてたわけだが………。