理由は何だったか……。




会議のときには、名前を聞いてもぴんとこなかったので、正直なにも覚えていない。





特に春川のことを認識していなかったし、顔も記憶にないくらい距離感のある生徒だったから。





つくづく俺は、適当な教員だと思う。






担任しているクラスの学級経営や、授業のための教材研究、生徒指導関係の会議や資料作成。




そういった山積みになっている仕事をこなすのに精一杯で、正直、自分のクラスでもない生徒の個別の事情にまで気を回す余裕もない。






ただ、接点を持ったからには、やっぱり気にはなる。




あんなにか弱くて体力もなさそうで、しかも世間慣れしていない感じの春川が、あんな遅くまで駅裏でアルバイトなんて………大丈夫なんだろうか?