先生はつんとした表情で、






「あなた達うざいですー。

俺の視界に入らないでくださいー」






と言って、女の子たちを追い払うように「しっしっ」と手を振ります。




女の子たちはきゃははと笑いながら、先生のもとを離れ、教室棟のほうへと駆けていきました。





生徒の波が収まったとたん、先生の顔が、糸が切れたようにふっと緩みました。




「先生の仮面」が剥がれて、素顔が覗く瞬間です。





思わず立ち止まり、じいっと見ていると。






「…………あ」






ふと視線を巡らせた先生と、目が合ってしまいました。




先生の目が、少し驚いたように見開かれます。





私は慌てて頭を下げ、ぱたぱたと玄関に向かいました。