それにしても、こんなに大人しい生徒は、女子にしては珍しい。




この年頃の女の子なんて、みんな考えるよりも先に言葉が飛び出しているとしか思えないくらい、きゃぴきゃぴと喋ってばかりいるものなのに。




春川は、考えていることの10分の1も口には出していない、という気がする………







「先生」






「………あ、えっ」







唐突に言われ、俺は、自分が春川をじっと眺めながら、無言で考えを巡らせていたことに気づいた。





やばい、表情筋が緩みきっていた気がする。





俺はすぐに自分を取り戻し、生徒に対していつも向けている、大らかで明るい笑みを作った。