すると、春川は小さく頷いて、ゆっくりとアルバムを開いた。




俺はペンを持ち直し、何を書こうかと必死に考えを巡らせる。





『今までありがとう』?





いや、駄目だ。



他の生徒と同じようなことを書かなければ………。





『卒業おめでとう』?



『大学に行っても頑張れよ』?





そんなことを考えていると。






「先生、ここ―――」






春川は小さく呟いて、白紙のページを開き、その一点を細い指で示した。




その場所に書けということかと思って、ペンを構えて覗きこむ。






「…………っ」






それに気づいた瞬間、俺は息を呑んだ。