「せんせー! なんか書いて!」





いきなり後ろから腕をつかまれて、俺ははっと我に帰った。




一年のときに担任していた男子の集団だった。




俺は慌てて教師の顔に戻り、ぐうたらで世話のかかったそいつらを小突きながらメッセージを書いた。





その間に、春川の姿は見えなくなっていた。






―――もう、だめだ。




もう会えないのか。





失望と落胆が一気に押し寄せてきたけど、それでいい、と思った。





会って話せば、また俺は、自分の感情をコントロールできなくなってしまうだろう。





卒業式を迎えたとはいえ、俺が教師で、春川が教え子であるということに変わりはないのだ。





余計なことをして、歯止めがきかなくなってしまうくらいなら………。