『藤森先生観察日記9』







先生と話さなくなってから、もう何ヶ月でしょうか。




それなのに私は、毎日毎日、先生のことばかり考えています。





先生と私が一緒に帰ったり、一緒に朝ごはんを食べたりしていたのは、夏の終わりから秋の始めにかけて、今思えば二ヶ月にも満たない短い間のことでした。





今はもうすっかり冬になってしまって、先生と疎遠になってしまってからの時間は、先生と親しくしていた期間よりも長くなっています。





それでも私は、先生と毎日二人きりで話していた楽しさが忘れられずにいました。





でももう、ふつうの『教師と生徒』の関係に戻らないといけません。




そうしなければ私は、もっともっと先生に近づきたい、という思いを抑えられないくらいに、




………先生のことを、好きに、なってしまっていたのです。





勉強を教えてくれる教師としてではなく、



ひとりの人間として、


ひとりの男の人として。