そのことを自覚して、俺は愕然とする。





もし、この気持ちに名前をつけるならば、おそらくーーー嫉妬、というやつだ。





それに気がついて、全身の血の気が引いたような気がした。






俺は、嫉妬している?




春川が他の男と仲良く喋っていることに?





ーーーたしかに、そうだ。




春川が俺以外の誰かに笑顔を見せているのを、俺は見たことがなかった。




休み時間の教室でも、春川はいつもひっそりと本を読んでいて、誰かと言葉を交わしても、二言、三言くらいのもので。




控えめで静かで、でも穏やかで優しい微笑みは、俺にしか見せないものだと思っていた。






それなのに、今、クラスメイトにその顔を見せている………それに気づいて、俺は言いようもない複雑な気持ちを抱いてしまっていた。