結局、最後まで春川のグループからの連絡はなく、俺たちは集合時間ぎりぎりまで二人で街を散策した。
春川はやはり無口で、ほとんど俺たちは話をすることもなかったが、
ときどき春川が俺のほうを見上げて、気になるものを指でさししめすことがあった。
「あの店に入ってもいいですか」とか、
「あの置物、おもしろい顔ですね」とか。
周りの喧噪にかきけされてしまいそうな細い声を聞き取るため、俺は上半身を屈めて、春川の興味を引いたものを確認した。
そんなふうにしながら並んで歩いていると、一瞬、「なんだかデートみたいだな」という考えが浮かんで、俺は慌ててその考えを打ち消した。
春川はやはり無口で、ほとんど俺たちは話をすることもなかったが、
ときどき春川が俺のほうを見上げて、気になるものを指でさししめすことがあった。
「あの店に入ってもいいですか」とか、
「あの置物、おもしろい顔ですね」とか。
周りの喧噪にかきけされてしまいそうな細い声を聞き取るため、俺は上半身を屈めて、春川の興味を引いたものを確認した。
そんなふうにしながら並んで歩いていると、一瞬、「なんだかデートみたいだな」という考えが浮かんで、俺は慌ててその考えを打ち消した。