『春川について6』








「…………あの、昔から、気になるものがあると、じっと見てしまうくせがあって―――」






春川の言葉を聞いた瞬間、俺の心臓は、もしかして口から飛び出すんじゃないだろうか、というくらい大きく跳ねた。





春川がいつも、俺のことをじっと見つめるまっすぐな視線。




それがふと思い出されて。





自分でも、なんでそんな思考に、と呆れるけど。






ーーー俺のことが気になるから、じっと見つめていたんだろうか。





そんな考えが頭を過ったのだ。






自意識過剰な思考だと思ったけど、そう考えれば、春川が俺のことを観察するように静かに見つめていたわけが、分かったような気がして。






………我ながら恥ずかしい発想だ。