どきり、と心臓が大きく波うった。




それを自覚した瞬間、やばい、と俺の頭の中で警鐘が鳴る。





ばくばくと激しい動悸をやめない心と、危険信号を送り続ける頭。






心と頭が争ったすえーーー心が勝った。







「………ありがとう。


春川にとって迷惑じゃないなら、………そうしてもらえると、すごく嬉しい」







掠れた声で答えると、春川がほっと息をついて、安堵したようにふんわりと笑った。






「ただ、春川の家にお邪魔するのは、さすがに、な………」






いくらなんでも、春川の母親に申し訳が立たない。




すると春川が、






「じゃあ、お弁当と一緒に、朝ごはんも持って来ます。


申し訳ないですけど、外で食べて………」






と言うので、俺はふるふると首を横に振った。