そんな二人のやりとりを、私はすこし切ないような気持ちで眺めていました。




中田さんは嬉しそうに笑っている声が聞こえます。



先生は中田さんが前に向き直ったのを確認すると、ふたたび歩き出しました。




先生が通り過ぎるのを、私は少し俯いて待っていました。





黒いスニーカーを履いた先生の足が、すぐ横に踏み出されました。




そのまま私の視界から消えてしまう、と思っていたのですが。






―――先生のスニーカーが、ふいに止まったのです。






なにかあったのかな、と思ったものの、私は目を上げることもできず、ただ俯いていました。





すると………