先生はぽかんと口を開き、動きを止めてお弁当の包みに目を落としています。




こんな差し出がましいことをしてしまって、先生が困っているのではないかと、私は急にものすごく不安になりました。





「………すみません」





小さく謝って、お弁当を鞄に戻そうとすると。





「ちょ……っと、待って!」





先生がぱっとこちらに手を伸ばし、―――私の手首をつかみました。




驚いて目を上げると、先生がはっとしたように





「あっ、ごめん……」





と言って、慌てて手を離しました。




私は何も言えず、どきどきしながら先生の顔を見つめます。




先生は「えーと……」と呟き、一瞬、空を見上げました。