こういうふうに生徒からプレゼントをもらうことは、ときどきある。




俺の誕生日のときや、三年生が部活を引退するとき、担任していた生徒と離れるとき。




もちろん、そういう気遣いを見せてもらえるのは嬉しい。




ただ、すこし困るというのも正直なところだ。



ちょっとした菓子や雑貨などであれば、「ありがとな」と軽く受け取って済ませることができるが、あんまり高額なものだと、さすがに貰いっぱなしというわけにもいかない。




なにかお返しを考えないとな………。





そんなことを考えていると、下から「先生」と囁く声が聞こえた。




ぱっと視線を落とすと、春川がいつもの静かな目で見上げている。