そして、地下室の入り口から現れた人魂……。
わんわんと泣いていて、地下室をグルグルと回っている。
これは、「赤い人」……いや、美子?
その時、私の脳裏には、留美子達が上手くやってくれたという考えが浮かんだ。
「私達は留美子を迎えに行くわ。あなた達は壷を壊して早くここから出なさい」
そう言って、3人は再び人魂に変わり、美子と入れ替わるようにして地下室から出て行った。
残されたのは私達と美子の人魂。
泣いて地下室を浮遊しているけど……早く壷の中に入ってくれないと、天井が崩れてしまう。
私達まで生き埋めにされたら、何のために遥は私をかばってくれたのかわからない。
悲しいけど……強い気持ちでスコップを握り締め、立ち上がって壷に近付いた。
フワフワと漂っていた美子の人魂が、螺旋状に回りながら壷に吸い込まれていく。
それを見届けて……私はスコップを振り上げた。
「うわあああああっ!!」
すべての感情をぶつけるように、振り抜いたスコップが直撃して、壷が砕け散る。
小気味の良い破壊音が耳に届いて……終わったんだという実感に包まれた。
揺れる地下室の中で、スコップを床に落として遥に駆け寄る。
「遥、終わったよ。こんな所にいないで外に出よう」
もう目を閉じている遥の頬に手を添えると、高広が小さく呟いた。