「な……なんで日菜子を……遥! なんでこんな事したのよ!! 日菜子と仲直りしたんじゃないの!?」
わからない、最後の最後でこんな事をするなんて。
日菜子のお兄さんを憎んでいたのはわかるけど、日菜子の事は好きだったんだよね!?
なのにどうして……。
『中島悠斗……消去します』
校内放送が流れる。
遥の涙も流れる。
私が尋ねてから、顔をくしゃくしゃにして、我慢もせずに泣いている。
そこに、いつもの気丈な遥の姿はなかった。
私が考える事は……あの日、遥の家に行った日、電話でふたりが何を話していたかという事。
死亡した日菜子の顔を見てみると、その表情に悔しさや憎しみといったものは感じられなかった。
どこか満足したような、かすかな微笑みを浮かべていたのだ。
『終了処理が……しました。今か……向かいますの……お待ちください』
終了処理が終わった。
今回死んでしまったのは中島君と日菜子のふたり。
でも日菜子は……遥に殺された。
「遥、日菜子と電話で何を話したの? もう終わったんだから、話してくれてもいいでしょ? じゃなきゃ、私は遥を許せないよ……」
泣きじゃくる遥の腕を強くつかんで、そう尋ねた。



