僕がぼんやりと大河原さんの笑顔を見つめていると、大河原さんは、「ん」と言って輪ゴムを僕の掌に乗せてくれた。







「えっ、い、いいの?」






「いーよいーよ。ってか、ただの輪ゴムだし!」






「うわぁ、ありがとう大河原さん!」






「こちらこそ。じゃね」






「えっ!?」








大河原さんがぷらぷらと手を振り、あっさりと立ち去りそうになったので。







「………っ、ちょっ、と待っ、て」






「んっ?」







僕は、無意識のうちに、大河原さんの手首をぱしりとつかんでしまっていた。






「おっとー? どした?」






大河原さんがアーモンドの瞳で僕を見上げてくる。