僕はうろたえてしまって、結局、ごまかすこともできずにもごもごと答えた。






「………あのー、………大河原さん、ひいちゃうかもしれないけど」






「あははっ、ひかないよ」






「あっ、うん………あの、僕、最初に大河原さんのこと見かけたときから、ずっと気になってて………」






「えっ」







大河原さんが、また、目をまんまるにした。






「なにそれ、まさかの一目惚れ、ってやつ??」






「えっ!?」






大河原さんの言葉に、僕は意表を突かれてしまう。






………一目惚れ、だなんて。





そんなふうに考えたこと、なかった……。






でも、考えてみると。




僕はいつでも大河原さんの姿を探して。




運よく見かけると、姿が見えなくなるまで目で追って。




その日は一日じゅう、浮かれた気持ちで過ごして。