しばらくして、大河原さんが、ぷっと噴き出した。




僕は眉根を寄せて首を傾げ、大河原さんを見つめる。





大河原さんは口許を押さえ、おかしそうに笑っていた。








「………あんた、変わってんね」





「えっ?」







どういう意味だろう?





僕は、いたって普通の、平凡すぎるほどの男だ。





変わっているとか、個性的とか、そんなことを言われたことなど、一度もない。





つまり、僕は、大河原さんとは正反対なのだ。





でも、大河原さんは、もう一度、「ほんと、変わってるよ」と僕に向かって言った。








「だってさ、これ、ただの輪ゴムだよ?


こんなのが忘れてあってもさ、普通はゴミだと思って、放っとくよね」







大河原さんは当たり前のように言い放ったけど。







「えっ、ゴミ? いらないってこと?」






僕は、自分でも大袈裟だと呆れるほど、大きな声でそう訊き返してしまった。





案の定、大河原さんが、怪訝な顔をしている。