木洩れ陽が、大河原さんの白い肌に、複雑な模様を作っている。






「あのさ」






大河原さんが、凜とした声で言った。






「ご親切にわざわざ持ってきてくれて、ほんとに嬉しいよ、ありがと。」





「あっ、どういたしまして」






僕はぺこりと頭を下げる。



でも、大河原さんは、まだ何か言いたいことがあるようだ。






「でもさぁ」





「え?」





「ただの輪ゴムなのに、よく、あたしのだって分かったね」





「えっ」






大河原さんの言葉に、僕は思わず顔から火が出そうになる。






「………それは、えーと、……あの、見てたから………」






しどろもどろに僕は答える。




大河原さんが目を少し見開いた。






「あたしがこの輪ゴム使ってるの、見てたってこと?」






「うん、………」






「ふぅん………」







大河原さんは、新種の生き物でも発見したかのような、珍妙な顔で僕をまじまじと観察した。