そんな生まれながらの優等生のあたしに、佐野先生が「あと、もう一つ」と手を合わせてきた。



「体育祭の選手決めと、

文化祭の出し物決めと、

後期のクラス係決め。

お願いしちゃっていいか?」



指折り数える先生に、あたしは目を丸くする。



「え、それ、全部ですか?

てゆーかさっき一つお願いって……」



「頼むよ〜!

今日のHRの時間に全部決めちゃいたいんだよ」



「先生、本気ですか!?」



「本気だよ。

俺がどうこう言っても、どうせ揉めるだろうしなぁ。

お前がリーダーシップとれば、スムーズに決まるだろ」



そんなふうにおだてられちゃうと、優等生なあたしは断れない。



…………にしても、ちょっと詰め込みすぎじゃありません??



「頼んだぞ、小林。

ほれ、斉藤と二人で手分けしてやれば、50分でいけるだろ」



そう言って、佐野先生は教室の隅っこのほうを指さし、「よろしくなー」と言って立ち去ってしまった。



あたしはげんなりとした顔で、先生の指し示した『斉藤』に目を向ける。


そこには、うちのクラス、いや、うちの学校きっての変人ーーー斉藤くんが鎮座していた。