斉藤くんが照れたように顔を俯けて何かを言っているけど、その声がまた小さくて、グラウンドで練習している野球部の声に負けているのが、これまた面白い。



あたしは笑いを堪えながら、斉藤くんの口許に顔を近づけて、その囁き声に耳を傾ける。






「うわぁ、ほんと嬉しいなぁ……。


俺、ほんとに、小林さんのこと、ずっと好きだったんだ……もっとたくさん喋りたいなって思ってて。


………とりあえず、今日、一緒に帰る?」






「うんうん、そんでさ、もっと斉藤くんの話聞かせてよ」





「え、俺の話なんて、そんな面白くないよ………小林さんの話のほうがよっぽど………」






「なに言ってんの!


あたし的には、斉藤くんが喋るだけで面白いから!!」






あたしは斉藤くんの肩を力いっぱいばしんと叩いた。




そうとう痛かったはずだけど、「いたっ」という斉藤くんの声がやっぱりとっても小さくて、あたしは吹き出してしまう。







これから、楽しい毎日になりそうだ。