「ねぇねぇ、斉藤くんはさ、どうしてそんなに声ちいさいの? 遺伝なの?


電話とかもできないよね」






「あっ、うん、電話がかかってきても、すぐに切られちゃうことが多いかな……」






「それって、電話つながってないと思われてるってことじゃん」






「あ、そうかも、これからは気をつける………」






「あ、また声ちいさい、聞こえない、もっと大きな声で!」






「あ、ごめん。


………てゆうか、ほんとに、小林さん、俺と付き合ってくれるの?」






「うんうん、もちろん。


でさ、斉藤くん、授業中に当てられたときとかも、ちゃんと答えてたってこと?」






「あ、うん、もちろん。


………そっかぁ、嬉しいなぁ、これからよろしくね、小林さん」






「はいはい。


そっかぁ、斉藤くんて、ちゃんと答えてたんだ………いやぁ、びっくりだよ、ほんと………」






なんだか、さっきから会話がいまいち噛み合ってないような気がするけど。




ま、いっか。




だって、今までは、会話自体が一方通行で成り立ってなかったわけだからね。




それに比べたら、いくら斉藤くんの返事がぼそぼそと小さすぎるとはいえ、ちゃんとキャッチボールができているだけで、あたしにとっては楽しい。