「………………」






「………………えと」






「……………小林さん」






「うわっ、また声!!」






「え、なんの話………」






「え、いや、だから」






「あのさ、いま、小林さん………」






「はっ、はははははいっ!?」






「好き、って………」






「えっ、いやいやいや、えーとぉ」






「俺も」






「なんてゆーか、無意識のうちに………」






「俺も、好き」






「…………………………はい?」







あたしは、はたと我に返り、斉藤くんに目を向ける。






斉藤くんは、いつものようにまっすぐに、あたしのほうを見つめている。







「さ、斉藤くん………いま、なんと?」





「俺も、小林さんのこと、好き」





「はいぃ!?」





「付き合ってください」






「……………」







…………やばい。



頭脳明晰なあたしの頭脳が、展開についていけない………。






あたしがフリーズしていると、斉藤くんが、ふぅっと息を吐き出した。




そして、ふるふる。




いつもの唇震わせ癖か、と思ったけど。




教室にはいつの間にか、誰もいなくなっていて。




静寂の中。




驚いたことに、斉藤くんのふるえる唇の間から、ぼそぼそと微かな声が洩れてくるのが、あたしには分かった。