耳慣れない声。






え?




も、もしかして、今の………








斉藤くんの声っ!?







あたしはぽかーんと口を開いて、斉藤くんを凝視する。






斉藤くんも、同じくらい驚いたような顔で、あたしのほうを見つめてきた。







「…………えっとー。斉藤くん……?」






「……………あ」






「わっ! 声………」






「いま、なんて………?」






「うへ?」







なんかもう、わけがわからない。





あたし、なぜか、斉藤くんに、好きって言っちゃって。



そんで、斉藤くんが、初めて声を出して。



それで、「えっ」とか、「いま、なんて」とか言われて。



てことは、あたし、答えなきゃいけないんだけど、でも、えーと、あたしだって、なんて言ったか自覚がなくて………。







あたしたちは硬直したまま、教室の片隅で見つめ合う。