「おー、ホームルーム始めるぞー」






あたしが佐野先生の声真似をしながら言うと、クラスじゅうのみんながげらげらと笑った。




こういうところで、あたしったら、みんなの心を掴んじゃうんだよねぇー。





ちらりと斉藤くんを見ると、顔を俯けているので、分厚い前髪に隠れた表情は見えなくて、ただ唇だけがやっぱり震えていた。




うーむ、やはり手強いな、おぬし!!






あたしは気をとりなおしてみんなのほうを向き直り、明るい声を上げた。






「体育祭の選手決めと、文化祭の出し物決めと、後期のクラス係決め。

以上が今日のホームルームの議題ね!」





「えっ、まじ!? 多くね!?」





「それ全部この時間で!?」






みんなが一斉にざわめき始めたので、あたしら落ち着かせるように手を挙げた。






「そう。だから、あーだこーだやってる時間、ないからね!!


前の黒板に体育祭の種目と人数、文化祭の出し物の案、後ろの黒板に後期の係、それぞれ書くから、どれがいいか、みんな一瞬で決めて!!」





「えー、一瞬でー!?」





「もし希望がかぶったらじゃんけんにするけど。

譲ってもいいなっていう素晴らしい心がけの子がいたら、身を引いてくれるとすごく助かる!


じゃ、さっそくいくよー!

とにかく早い者勝ちね!!

最初に手ぇ挙げた人にするから!!」







あたしは有無を言わさずに、即座に体育祭の選手決めを開始した。